何やらこの人、アメリカの支店から日本の社員を教育する目的できたらしいんだけど、もう見た目40過ぎのオバハンのくせに、20代の女の子も顔負けっていうような、俗に言う「露出系ファッション」をしてきて、正直俺は目のやり場に困ってしまった。
 
 おまけに日本のギャルを意識してるのか?年甲斐もなく「パンダ目」メイクもして、ギラギラ光る紫の濃いアイシャドウに真っ赤なすごい香料のする口紅までつけてるよ。
 そいでもって髪の毛も日本のトップモデルを意識したように、こぎれいにくるくる巻いてて色もまっ茶に染めててさ。

 本当なら間違いなく髪を染めてなければ白髪入ってるだろ、っていうレベルのオバハンだね、ありゃあ。

 同じ会社の女性の同僚からも、見た目ちょっとだけデイズニーの101に出てくる悪女の「クルエラ」に似てるせいか、クルエラってあだ名を付けられてたみたいだから、年齢不詳でま、実年齢よか若くも見えるんだろうけど、あれはちょっといきすぎだろ、と男の俺でも正直うわぁ、って思う出で立ちの人だったんだけど、見た目だけだったらまだ良かったんだ。

       問題はその後。

 このオバハン、俺のいる営業部にやって来てから1ヶ月経ったある日のこと。

 いきなり「ねぇ、青年くん、彼女いるの?」って聞かれて、一瞬俺の心臓が凍りついた。
 
 俺は社交辞令でいいえ、と言うとオバハンは真っ赤な唇で俺に向かってニッコリ微笑むと
「青年くんは年上、キライじゃない?」
 と聞いてきた。

 俺がはぁ?と言い返すと、このオバハン、何を勘違いしたのかそう、そうなのと、またニッコリ微笑むとその場を離れていった。

 今考えるとこれが全ての悪夢の始まりで、俺のこの曖昧な返事が後の悲劇を生む結果になってしまったのだが、(どうやらクルエラは俺のはぁ?という相槌を「はぁ…」→「はい」と勝手に解釈してたようだ)当時こんな俺にも高校時代から付き合ってたヒメコ、ってかわいい彼女がいたんだ。