「ああ、今日もこうして無駄に1日が過ぎていくのらぁ・・・・・」

 俺は大きな欠伸を一つして、今日もこうしてこの世田谷の某所にある、だだっ広い公園で虚しく1日を終えようとしていた。
 
 ただ何もせずにこうしてベンチに座ってコーヒーとスナック菓子1袋、そして右手には駅前でタダでもらった求人案内の雑誌を握り締めて。

    これじゃただのプー太郎だろうが。

  これじゃいけない、明日こそは何かを得なければ。何も起こらないし、始まらないじゃないかっ。

 そう思っていつも会社に行くふりを家族に見せつけてはうちの玄関を出るのだが、どうにもこうにもここのところこの生活になってしまってからはヤル気が起こらない。

    何でヤル気がおこらないかって?????

 それはね、この我々がいる日本という国のバブル経済が弾けた後の、年々ひどくなっている雇用形態のせいだよっ!

 ってこんなちんけな一国民の俺が怒ったところで仕方ないし、どうにもならないってことは分かってるから余計な事に余計な労力は使わないんだけどさ、でもどうにか今の現状を俺一人で何とかしないとマジでやばいんだよね・・・・・

 俺、青年アキノ。
 
 ティーンエイジを今現在2回目迎えようとしてる、1ヶ月位まではごくフツーのサラリーマンしてたんだ。
 
         サラリーマン。

 そ、あんまり外国語得意じゃない俺が、親の取引先の上司を使って大コネ使って無事やっと就職出来た、Jっていう、一般社会じゃ「一流外資系企業」って呼ばれてる会社に就職したんだ。
 
 だけどさ、そこで営業を任された俺は、自分で言うのもなんだけど、まぁ新人にしちゃまずまずの成績で出だしは好調、上司からも「お、がんばってるね。この調子でね」なんてお褒めのお言葉を頂き、時々「大人の男のたしなみ」ってもんで、上司の方々にくっついてキャバクラなんて学生時代行った事ないお店にも連れてってもらって、それはそれは楽しい毎日を過ごしていたんだよ。

 だけど、そんな楽しい毎日が永遠にずっと続くわけが無い。

 ある日、俺が入社して2,3ヶ月位してから本社から女の上司がうちの会社の部署に入ってきたんだ。