幾ら電話を掛けても繋がら無いまま…無常にも時間だけが過ぎていった。
募る焦りを落ち着かせる為、煙草を取り出したが箱の中は空になっていた。
携帯をスーツのポケットに押し込み近くのコンビニへ向かった時、偶然見えてきた情景に思わず足を止めた。
「ぃや…やめて…!!!」
「俺にどれだけ迷惑かけりゃ気が済むんだよ!! …勝手な事するんじゃねぇ!」
涙を流しながら震える女と暴言を吐きながらひたすら殴り続ける男。
俺が今までずっと1番恐れていた事が今…俺の目の前で起きていた。
―――――‥ドスッ!
鈍い音を出して堅いアスファルトの上に転がった男。
震える女の上に跨がりながら殴る男を怒りに任せて思い切り強く蹴り飛ばした。
「…っ…凌…」
涙を滲ませたまま俺を見上げているのは…ボロボロになったドレスを着た麗華だった。