「そっか。じゃあ、また他の所を捜してみるよ」
苛立ちを押し殺して爽やかな表情を無理矢理浮かべながら出口の方へと向き直した。
女達の言葉に今にも怒りが溢れそうになりながらも、琉依としての面子を保つ為に何とか必死に堪えた。
「もう帰っちゃうの〜?」
そんな俺の元に諦めの悪い女が上目遣いをしながら甘ったるい声で訊ねてきた。
「ごめん。今、時間無くて…また来るよ」
仕事の時と同じ様に作った表情を浮かべながら女の耳元に嘘を囁いた後、急いで店の外へ出た。
女は俺の言葉をすっかり信じ込みながら嬉しそうに微笑んでいた。
いや、確かに時間が無いというのは嘘ではないのかもしれない。
もうあれから1時間が経とうとしているが依然として俺の目的はただ一つ。
早く麗華を捜さなければ…
店にも居ないとなれば一体何処に居るのだろうか。
思い当たる場所が無くなった事で更なる不安が襲いただ焦りだけが募っていった。