こうなってしまえば
仕方ない。

この人を怒らせるほどの勇気はないから。

「……」


動かない足…

入りたくないな


「ほら…後でまた聞いてやるから」


その言葉を聞いて
私の足はゆっくりと動き出す。


ガラガラ


がやがやとうるさい教室。
私は窓際の席へと足を進める。

窓の外には青い空…
泣きそうになる。


「咲!」


突然呼ばれ、慌てて振り返る。


「泣くなよ!」


そう言って先生は戻って行った。

案の定、教室内は静かになっていて
私の方へと向けられている視線。


だから、大声で呼ぶなって…


私はその視線を浴びながら
何もなかったかのように席につく。

クラスの中では
私と先生が付き合ってる、なんていう噂がある。

先生だって知ってるはずなのに…
何で疑われることをするんだろう?