「わかってる……」
動こうとしない私を見かねてか
武田先生は椅子を引いて
私の前に座った。
「……それで?」
どんな夢を見たのかと問いかけてきたので
私は小さい頃の夢と答えた。
どんな夢かわかったのか
先生は何も言わずに俯いた。
「……まだそんな夢を時々見るのか?」
俯いたままの先生は
それだけ私に聞いた。
「時々ってわけじゃないよ…
今日……さっき見たの」
「……そか」
そういうと
先生は眼鏡を外した。
少しドキッとした。
だって先生は格好いいから。
先生が人気っていうのも
わかる気がする。
そして
先生は優しい。
何かあったときは
いつもこうやって聞いてくれる。
時には怒られる時もあるけどね…