「いいなぁ、みんな」


そう言って肩を落とすのは彦坂さんだ。


「私だけ何も変化がない…」


「まぁまぁ。それだけ今の部署に必要とされてるってことじゃないの?」


「違う。都合良く使われてるだけだよ」


「仕事ができるって認められてるってことじゃん」


「そんなの何の得にもならない。私は一生いいように使われて終わるんだ」


彦坂さんはテーブルに両手をつき、その腕に額をのせた。


ここまでわかりやすくスネられると、さすがに私たちも励ます言葉が出てこない。お互いに顔を見合せるだけだ。