映画みたいだと繰り返した藤吉さんは正しかった。


テレビの中で繰り返し流れる映像と、ヘルメットを着用しながら状況を伝えるアナウンサー。生きている映像を見ながら説明を求められるどっかの教授。どのチャンネルも同じ物が永遠と繰り返されていた。


何度も見ていると感覚ってマヒしてくるんだ。


こうしてテレビのこちら側にいると、それがまるで映画やドラマでも見ているかのように思えてしまう。だって、それ以外にこんな映像見たことない。


濁った波、流されていく物たち、人の声、燃える赤色、知らない単語。


それらを現実だと認識したくないのか、それとも私の情報処理能力が足りないのか。


私のアシモトはいつもと同じなのに、同じなのに………