「気持ちはわからんでもないけど、お前が行った所で何ができるんだ?」


「とりあえず落ち着いたら? 台風とかでもすぐに電車って止まるんだから、今はこっちだって動けないと思うよ?」


「あっちがどういう状態なのかもわからないのに。まずは情報集めた方がいいんじゃないの?」


「行くなら行くでいいけどさ、どうせなら何か必要な物を持って行ってあげるとかしたら? その為にも今はむやみやたらに動かない方がいいと思うけど」


「てゆーか、無理でしょ。どうやって行く気?」


それはどれも正論だった。けれど、松島君はそれを聞き入れられる状態ではなかった。


それは、この日、私が感じた二度目の温度差だった。