「とりあえず全員無事だな。あと、家族とか実家が宮城とかあっち方面のヤツいるか?」


短い足で大股に歩きながら戻って来た岩原GM。自分の席へ着くよりも原価Gの輪の中心にやってきてそう言った。


「今ここにいないのは…」


そう言ってメンバーの顔を確認していく岩原GMの言葉を継いだのは外山さんだった。


「丸山君は今日、祝勝会でミッドランドです」


「お、そっか。あ~、部長連中もそうだな」


その日は今年の元旦に行われたニューイヤー駅伝優勝を祝う会が行われる為、各部の部長はもちろん、社長や役員も一同に介していた。


会社に駅伝部が設立されて以来、初めてのニューイヤー駅伝優勝。ラグビーやバスケ部、他のスポーツが華々しい結果を残す中、駅伝部だけはイマイチぱっとしない中での優勝だった。


新年早々、しかも三者争う中でゴールテープを切った感動に会社は沸いた。当日、社長も急遽応援に駆けつけて、私は何故か社長の隣りでゴールの瞬間を見たのだった。


地震が起きたのは、その祝勝会が始まる一時間ほど前だった。