まだ何が起こったのかを知らない私と、何が起きているのかを知った藤吉さんとの間に温度差を感じた。


けれど、食堂へ行ってテレビを見ながらみんなと話してる時間の余裕なんかない。私には今、目の前にある仕事を放り出すことなんてできない。何より、仕事を放棄してテレビを観に行く行為が、その権利が自分にあるのかどうかもわからない。自分には何が許されているのか?!


私は岸谷さんと仕事の引き継ぎをすることを選んだ。


岸谷さんの隣りに自分のイスを持って来て二人でパソコンを見ていると、さざ波のようだった騒がしさがいつの間にか大きな渦のように周囲を取り囲んでいた。それは事の重大さを知らせていた。


少しずつ、胸に押し寄せてくる焦り。そして、それを更に煽るかのように岩原GMが戻って来た。