「すごいよ、もう、本当に。海って、波ってあんな風になるんだって初めて知ったよ。


今まで地震のニュースの時にさ、最後に津波の心配は入りませんってよく出るじゃん? あれ、必要なのかなってずっと思ってたんだけどさ、俺。ヤバイね。マジで。いや、ヤバイわ。


とにかく映画みたいだよ。本当に、すごいとしか言えないわ。ヤバイ」


藤吉さんは時々、私たちに話しかけているのか自分に問いかけているのかわからない様子で、とにかく映画みたいと何度も繰り返し、見に行って来いと言う。


ギラギラと輝く目を見開いて話す様子に私は引いた。