一本の内線電話が入った。岩原GMからだった。全員無事かどうかの安否確認。岩原さんも今、別の会議に出ていて席を外している。


「なんかすごいことになってるよ」


まるで少年のような純粋な笑みを浮かべて戻って来たのは、藤吉さんだった。


「藤吉さん、どこに行ってたんですか?」


「上の食堂。震度と震源地見ようと思って。今、見てきたらとんでもないことになってた」


「とんでもないって?」


藤吉さんは私と岸谷さんの後ろに腕組みしながら立つ。顔がずっと笑っている。興奮しているのか、盛り上がった頬骨が固まったまま動かない。


「映画みたいだよ。映画観てるみたい」


そう語り出した藤吉さんを見ていて気付いたことがひとつ。


最後はもう笑うしかないってこういうことなのかな。