「さっきって説明会の時も揺れてたんですかね?」


「全然気付かなかったですね」


そう川合さんと話しながら事務館へ戻ると、事務館の一階は少しざわついているようだった。けれど、特に気にすることもなく、その様子を横目に二階の原価Gに戻る。そこはさざ波のような静かな騒がしさだった。


「こっちも揺れました?」


「はい。目眩かと思いましたけど」


岸谷さん以外にも、自分だけが揺れていると思った人はたくさんいたみたいだった。


「また揺れてますね」


そう言いながら、その場にいたほとんどの人が天井を見上げている。自分以外に揺れている、目で見て確かな物は天井からぶら下がっている物しかなかったから。