「凜……これはなんだ?」

覗いてみるとカレールーの中には、謎の物体が浮いていた。
それもかなりの大きさだ。

「これはねー、海老とホタテとイカと鯖だよっ!慶太、鯖好きでしょ?」


凜は一つずつ具材を指差して説明する。


あぁ…こいつの正体は……鯖か。

「確かに好きだけど……カレーに鯖は……。」


しかも、切り身をドボンと入れるか?

「やだなぁ!鯖はカレーと相性がいいんだよ?」

確かに、有希が時々作ってくれた、鯖のカレー粉焼きは旨かった。

だとしても、これはないだろう。

「あのさ……」

思わず顔をしかめて俺がそう言いかけると、たちまち凜の眼に涙が浮かんだ。