「私は、“怪盗V”よ??偽物ごときで捕まってられないわ。」

「さっき捕まったばっかりのクセに。」

「それは別。」


私は平然と言った。


「でも……、」

「ん??」


伊次くんが首をかしげる。

私は少し顔をそらしながら、


「さっき、転びそうになった私を助けてくれて、ありがとね。」


私がもう一度ちゃんとお礼を言うと、伊次くんがクスッと笑ったのが、視界の隅に映った。