「捕まえたことあるの?」

「……1回だけ。」


少しの間を置いて、
口を開く龍樹。


「何、今の間。」

「いや……。」

「あっ、もしかして、逃がしちゃったとか?」


私が冗談っぽくそう言うと、
龍樹が私を軽く睨んだ。


「悪かったな、逃がして。」

「何で逃がしちゃったの?」

「だって、」


もごもごと口を動かす龍樹。


「何??」

「怪盗V、すげぇ傷ついた顔してたから……。」