「はぁ?」

「はぁ? じゃないでしょ、俺も副委員長したいんだから」

なんだこいつ。

忘れた頃によけいなことをする。

「やだやだ! のん、春菜がいい!」

「ここはジャンケンだな」

私の意見を無視して、うんうんとうなずく担任。

最悪! 春菜、絶対勝って!

「最初は、グー。ジャンケン…」

「あいこだ」

2人が出したのはパー。

私はほっとため息をつく。

いやいや、ここからが人生の分かれ目なんだから!

「あいこで…」

「ポン!」

「うわぁっ」

春菜はチョキ。橋口はグー。

終わった…。

「やった~♪ んじゃ俺、副委員長ね~」

「春菜なにしてんのよ~」

「まじごめーん!」

てへっと舌を出して頭をかく春菜。

「先生、委員長辞めてもいいですか?」

「なにをいってるんだ。無責任な」

「ですよね~」

はあああ、と教卓の上にうつ伏せていると、

肩の上に誰かの大きな手が置かれた。

「まぁまぁ。何事もあきらめが肝心ってね、のんちゃん♪」

「のんちゃんって呼ばないで!」

肩の上に置かれている手をすぐさま払い、

私は橋口をきっと睨んだ。

だけど橋口は超マイペース。

「どうしてさ。のんかのぞって呼んでねっていったじゃん」

「お前になんかいってない! 春菜にいったの!」

「別に俺が呼んだっていいじゃん。なくなるもんじゃないんだし」

「うるさい、話しかけんなぁ」

「冷たいんだから~、もうっ」

急にオネエ口調になった橋口を見て、クラスメートは大爆笑した。

なんだよこいつ、大衆ウケしてんじゃん…。