始業式が体育館で行われた。

校長の話が始まるとすぐに、私は列の前後の女子とおしゃべり。

「やっほー。春菜ちゃんだよね?」

「春菜でいいよ~。えっと…」

「希美だよ。のんかのぞみって呼んで」

「おっけ~。…あー、小野くんの彼女だよね?」

「そうだよ~。小野くんはマイダーリンなの♪」

「のろけてんじゃねぇ~よ~」

「のろけてないも~ん」

少し茶色がかったストレートヘアーが綺麗な春菜は、只今フリー。

一年生のときは一か月ごとに彼氏が変わっていたらしい。

「春菜可愛いのに、彼氏いないのー?」

「そー。可愛すぎて、高嶺の花みたいな?」

「自分でいうな~」

「あははは~」

すぐに春菜とは打ち解けて、私たちはいつも一緒にいるようになった。

休み時間は春菜の席に行って、

優也との惚気を聞いてもらったり、

逆に春菜のモテ伝説を聞いたりした。

そんな感じで1週間を過ごしていたから、

隣の席の変なやつのことはあまり気にならなくなっていた。

だけど高校二年生になって2回目の月曜日。

「今日は委員とか係決めします。

 まず司会ということで委員長を決めます。立候補者は?」

「はーい」

私はためらいもなく手を挙げた。

1年間のうち必ずなにかの委員に立候補する。

これが私のポリシーだ。

「松下、やってくれるか。みんな、それでいいか?」

まばらな拍手が起こる。

「じゃあ、決定な。そんで、副委員長は…」

「はーい! うち、やる!」

元気よく手を挙げてくれたのは春菜。

彼女のほうに振り返ってみると、春菜はにっこりと笑った。

やったあ。春菜と一緒とか嬉しすぎる。

なんて喜びに浸っていられたのは、ほんの一瞬だった。

「ええー、俺もやりたいー」

「!?」

声が聞こえた方を見ると、隣の席の変なやつも手を挙げていた。