色の薄い髪の毛はふわふわと軽いパーマがかかっている。

長いまつげとぱっちりと開いた瞳。すっと鼻筋が通った鼻。

まるで外国人みたい。

「松下希美でしょ?」

「…うん」

私がうなずくと、彼は歯を見せてにかっと笑った。

どうして私の名前を知っているんだろう。

「ふーん。確かにな」

「何が?」

意味深な言葉を発する彼に、私はちょっぴりイラつきながら聞いた。

「いや、優也の自慢の彼女さんだけあるなあって。

 松下、結構俺のタイプ! あはは!」

「…」

何こいつ。

私が他人の彼女だって知ってるくせに、「俺のタイプ」?

信じられない!

「あっ、俺のこと知ってる?」

「知らない」

私の声は完全に低くなっている。

少しでも怒気を表そうとしているんだけど、相手に伝わっているのだろうか?

「何怒っちゃって。大丈夫だよ、俺彼女いるから」

「はぁ?」

私は何も聞いていないのに、

彼は自分の彼女について得意げにべらべらとしゃべり始めた。

ていうか、彼女アリ?

他人の彼女を自分のタイプだと公言しておいて?

こんなやつ、どうせ二股も三股もしているに決まっている。

聞いてられない。

「あっ、どこ行くの」

「別に」

私は席をたつと、すぐさま廊下へ出た。

なんであんな馬鹿の話を黙って聞いてなきゃいけないの。

あんなタイプの男、一番苦手かも…。

はぁーとため息をつくと、

廊下の向こうからザキさんこと山崎がこちらへやってきた。

「ザキさん!」

「よう。おお、一緒じゃん」

ザキさんは私のクラスの名簿表を見ると、表情を明るくした。