「あ・・、」

「・・麻美! このバカ・・!
おい! 先生、無菌室に来い!」

「は・・はい!」


俺はその場に倒れた麻美を抱き、
病棟内、無菌室前の扉の前へ
ジャンプして来た。


「こっちよ、急いで!」


慌てて走って来た女医は
ナース・ステーションに
声を掛けて応援を頼んでた。

俺の腕の中で
朦朧とする彼女の額に触れる

バカな、既に高熱なのだ。

ナースがいる手前、麻美を一度降ろし
彼女らが担ぎ上げているのを
女医と、呆然と並んで見ていた。


「・・・なんて云ったんだ」


女医は申し訳なさそうに俯いた。


「彼女が生前のアナタを
知っているのかと思って・・。」



"今の人 ______ に、ソックリ"


"ウソ! 先生、見えてたの?
彼を知ってるの? 名前は?

______ ねえ、何してた人・・?"



「・・・・。」


最悪な事に・・女医は俺の
フルネームは勿論、生年月日や
死因、命日まで教えたそうだ。

ストレッチャーで運ばれていく
彼女の手が片方、
ダラリと落ちているのが見えた。


「兎に角、ここは任せて・・!」

「ああ・・、頼む。」


重厚なドアの外側のベンチに
一旦座ったものの、
落ち着いていられる訳がない。


( 罰・・・!)


"神"との、あの話だ。
ヤツはこれを見越していた。