あァ、それこそ冗談じゃねえ。
あのサディストの思うツボ。
俺は当分この係りになっちまう。

「じゃあ・・貴方、お迎え?」

そう静かに訊ねた
ベッドに両手を放り出してる女。

直視できないほど・・
ギスギスに痩せてまるで
末期の時の自分を見ている気分だ。

「そうだと云ったら?」

「なんだ、ガッカリ。」

「・・はあ?」

手櫛で髪を整えてから首元まで
掛け布団を引き上げてる。

目を見ると僅かに反らす様子が
胸の内を隠したい表れにも思う。

そして女はちゃんと笑っていない。
本人はそうしてるツモリだろうが。


「死神って・・、もっと怖くて
妖怪みたいだと思ってた。」

「漫画の見すぎだろ。
現実はこんなモンだって。」

「フフ、意外とカッコいい。」

「・・からかってんじゃねェ。
それに俺は本職の死神じゃない。」


何て事はねえ・・

コイツはドコにでもいる、
楽天家になり切ろうとしてる
だけの、弱い女だ。