「いえいえ、お世話になりますから…」


「なんか悪いわねぇ…」

亜梨紗のお母さんは仕方ない、といった感じでクッキーを受け取ってくれた。


「つばさ、荷物貸して?私の部屋に置いてくる‼」


「あ、大丈夫だよ。自分で置いてくる。」


「いいからいいから。」


「…そう?じゃあお言葉に甘えて…」

亜梨紗に持ってきたバックを渡した。


「つばさはソファーにでも座ってて‼」

亜梨紗にそう言われて、私はソファーに座る。


ソファーの前にある、ちょっと小さめのテーブルには一つのマグカップが置かれていた。


「…?置き忘れ…かな?」


私がそのカップを持ち、亜梨紗のお母さんに

「あの、これって…」


「あら京平のカップ‼

置きっぱなしにしていったのね…」


亜梨紗のお母さんはため息をついた。


「ごめんね、ありがとうつばさちゃん。

そこに置いてくれる?」


「あ、はい。」