プルルル
静かな部屋に携帯の音が響く。
『わわっ?
何だ?』
京は急になったからビックリした模様……。
ご、ごめんね。
なったのは、私の携帯。
まさか……。
また翔太?
そう思い、ドキドキしながら携帯をひらく。
…………………え?
どういうこと?
翔太。
『てか、美音ちゃん。
携帯持ってたんだね。
俺ら誘拐犯としてミスおかしすぎじゃない?』
照れ笑いとも苦笑ともとれる笑い方をする京。
たしかに抜けてるよね。
こういうとき。
“誰からなの?”
とか
“今の何?”
と聞いてこないのは京なりの気遣いなのだろうか。
今
私にとってそれは……。
かなりありがたい。
ありがとう、京。
京と他愛もない話で笑いながら視線を携帯におとす。
翔太からの………メール。
ねぇ、どういうこと?
………ううん。
考えちゃいけない。
私に答えなんて出せるはずがないのだから。
私には、翔太や陽を信じて待つこと。
それしか出来ない。
ーーー姉ちゃん。
ちゃんと後で説明すっから、ちょっとばかし待ってろ。
そこにいる、良さんと京さんは信用できる人たちだ。
かならず助ける。信じててくれ。ーーー
ばーか。
生意気なのよ……。
良と京が信用できる人たちだなんてこと………一緒にいればわかる。
助ける?
上から目線。
むかつく。
…………でも私には信じて待つことしか出来ない。
もう…………。
裕太はいないのだから。