『どうした?』



かなり深刻な顔で黙っていたのだろう。


良が心配そうにこちらを見る。



「ううん、何でもない」




そう言うとホッとしたのか笑顔になる良。



何だかんだ言って優しいな。



「ねぇ?なんで髪の毛の色、京と違うの?」



良は赤

京は青 だ。



『あ?
あぁ、俺らソックリだろ?自分で言うのもあれだけどな。』



うん。確かにソックリだ。

さすが双子。


『だからかな。
赤いのは俺だ
って言う自己主張なんだと思う。』


そっか、そうだよね。


それだと区別しやすいし。


でも逆に、京が急に髪の毛を赤にしてきた瞬間、見極めがつかなくなっちゃうのか…



そんな呑気なことを考えていたら。



ドンドン


しきりにドアを叩く音。


何…?



『大変です!
総長が…!』



え?


『安心しろ。京ならもう総長をなだめにいった。』



『え…!
そうなんすか!
ありがとうございます!』


そう言うと何人かの去っていく足音が聞こえた。



「やっと気付いた…ってとこ?」



『あぁ、だろうな。
バイクの点検が終わったんじゃねぇ?』



呑気〜…



「じゃあ…宮下蓮も向かったのかな?」



『だろうな。』


あいつ…総長のこと殴っちゃうんじゃないの?


とか
少し宮下蓮をバカにした私だった。



「総長…何があったのかな?」


『知らねー。
興味ねー。』



違うな。
説明するのがめんどくさいって顔だな。



あ、それより。


「ねぇ、良!
連絡先交換しようよ。」


そう言ってポケットから携帯を取り出す。



すると良は驚いたような顔をした。



『……携帯…持ってたのか?』


「うん。」


何?


その古い人扱い。



私だって携帯くらい持ってるわよ。



『持ってたのに、なぜ親や警察に連絡しない?』



……あ、そっちか。



あ?
………ちょっと待って…?



翔太を誘き出すのが目的じゃなかったの…?



あ。
良は目的をよく知らないんだっけ。


じゃあ しょうがないか。


「親に電話なんてしないよ。」


しない…ううん、できない。


「親いないから」


バカな兄弟ならいますけどね。


『あ…そうなのか。
わりぃ…。』


あ!

「ううん、大丈夫。」


『一緒だな、俺らと。』



え?



『俺らにも親はいねぇ。
だから俺にとっては京だけが唯一の家族なんだ。』



……一緒…。


じゃあ双子から感じてた同じようなオーラって…



同じ境遇だから?



「私にも弟がいるの。」