『京は総長にたくさん世話になったって…』
世話?
『京を闇から救ってくれたのは総長だって。』
……ズキン
それを聞いて胸が痛んだ。
同じ…だ。
……私と。
『京は本当に総長を信頼してる。
総長も京を信頼してる。
あの2人の絆はすげぇと思う。
……けど族全体のことを考えるとな。』
……違う。
「違うでしょ?」
『え…?』
「良。
あんたは、族のために総長を辞めてほしいんじゃないでしょ?」
生意気なこと言ってるかな…。
「京を。
傷付けてほしくないんでしょう?」
総長ともあればケンカはかなり強いハズ。
そんな総長のヒステリックを止めるだなんて、簡単にはできないハズ。
京が傷つくことだってないとは言えない。
…そうでしょ?
『……ははは。
すごいな…美音ちゃんは…』
良が驚いたような
それでいて安堵したような表情で言う。
わかるんだよ。
似てるから。
私達。
『………美音ちゃんと俺ら。
ガチで似てるのかもな。』
私が考えていたことと同じことを…
『美音ちゃんの言う通り。
京はたまに…
いや、しょっちゅう総長に傷つけられる。
肉体的な傷ばかりじゃない。
精神的なほうもな。』
やっぱり。
でもね?
ヒステリックになったときなんてそんなもんなんだよ。
まわりのことを考える余裕なんてないの。
『………わかってる。
だから俺もあの人を総長の座からはおろせない。』
私が言おうとしたことを理解したんだ。
「………京…遅いね…」
良と結構話し込んでるから時間はそこそこ経ったハズなのに……?
『………まさか…。』
良の顔色がだんだん悪くなる。
「だ…大丈夫だよ、京は強いんでしょ?」
幹部だし。
『あ、あぁ…。そうだな。』
今
きっと良は最悪の場合を考えた。
……私も。