………アジト?
……そんな怪しさムンムンの場所に誰が行くかっ。
しかも あんた自体も怪しいし。
「行きません。」
キッパリ断る。
すると男は、ビックリした様子だった。
『……え?まじで?』
だから そう言ってんでしょ。
『……俺、“連れてこい”って言われてんだけど…』
知るか。
「失礼します!」
そう言ってまたもや立ち去ろうとする。
『……じゃ、力ずくでな。』
男はそう言うと私の腹部を殴った。
腹部に感じる痛みと遠ざかる意識で殴られたと気付いた。
ドサッ
倒れた私を抱き抱える男。
男は携帯を出し、電話をかけた。
『……もしもし。俺だ。
――――櫻井美音を捕まえた。』
そう言って電話を切ると、男は私を抱えながら立ち去る。
…………そこで意識は途絶えた。
***
なんだろう。
前もこんなことあったな。
けど 一つ違うのは私のことを助けにきてくれるヤツがいないってこと。
前だったらアイツが助けにきてくれた。
“絶対”っていう安心感があった。
だからさ?
理由に なってないと思うけど。
また、助けにきてよ?
私をここから救ってよ?
連れ出してよ?
裕太。