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『じゃあね〜』
『また、明日〜』
「うん。じゃあね!」
やっと終わった。
鋼の檻。
それにしても。
今日の学校は長かった…。
はやく帰りたかったからだろうか。
なぜだろう…………。
胸騒ぎがする。
はやく帰らなければ。
そんな気がするんだ。
足早に家へと向かう。
『………櫻井…美音。』
誰かが私の名前を呼んだ気がした。
……いや。呼ばれた。
『お前が櫻井美音だな?』
目の前に現れたのは見たこともない、いかつい男。
……デジャヴ?
あ、でも陽はいかつくないか。
ただ。
今日の私にはめんどくさいことは勘弁してほしい。
………ので。
「……いえ、違います。」
そう言ってさっさと男の前から立ち去ろうとした。
『待て』
ガシッと腕を掴まれる。
……何、こいつ?
セクハラよ、それ。
「離してくんない?」
我ながら、いい度胸だなと思う。
これじゃあ、明らかに挑発してる人みたい。
『じゃあ、答えてもらおうか。』
……なんか こいつ頭、悪そう…
『お前。櫻井美音なんだろ?』
……だったら何?
どんだけ私有名人なわけ?
一応、思ってても口には出さない。
一応…ね。
『答えろ。』
……めんどくせっ!
だから私は帰りたいんだってば!
「そうだけど?
だったら何?」
掴んでいる手を振り払う。
『……じゃあ、来てもらおうか。』
……どこにだよ。
『お前に拒否権はねぇ。』
あんたに決定権もねぇけどな!?
心の中で屁理屈ばっかり並べる私。
大体、そういうのは事前にアポをとっておくもんでしょ。
あんた、それじゃあ社会に通用しないわよ。
女なんだから準備に時間がかかるかもしれないし。
『聞いてんのか?
はやく来い。』
だから、どこによ!
あんた さっきから修飾語が足りないのよ!
「……どこにだよ」
そう質問すると、金髪のいかつい男はニカッと歯を出して笑いながら言った。
『俺らのアジト』