『お…おい。
“劣華”だと?』



翔太もわかった?



“劣華”は……。



『何だよ?
知ってんのかよ?
何気にスゴいな。
何?美音ちゃん達族に入ってたの?』



笑いながら言う陽。



………“劣華”は。



まだ 咲き誇ってたの?



まだ………。


“もう逢える”

アイツの言葉が頭の中でこだまする。



『姉貴。』




わかってる。


わかってるわよ。


「違う。
あの“劣華”はもう…枯れた。」



アイツのいた“劣華”は。

アイツが総長だった“劣華”は。



枯れた。



もう存在しない。


『……美音ちゃん?』



「な…なに?」


『美音ちゃんも族に入ってたの?』




「入ってたよ」



『へぇ〜!
…まぁ、知ってるけど。』


でしょうね?


最初っからこいつは私の過去を知っていた。




「あの金髪名前なんて言うの?」




礼儀正しい金髪。


『え?
あぁ、あいつは…
向井 雅樹だよ。』


むかいまさき…。



「ふ〜ん」


『えっ?美音ちゃん?
惚れちゃった?』



…………は?



「殺す。」


『すいませんでした。』



何、このくだり…。



『あ、美音ちゃん。』


ん?


『今日も一緒に帰っていい?』


……かわいいな、くそ。