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『姉貴!?』
翔太に呼ばれてハッとする。
『今日姉貴変だぞ?
上の空と言うか、ボーッとしてると言うか…』
考えてた。
夢でアイツに言われたことを。
「気にしないで。」
『あ、あぁ…』
ごめん、ありがとう翔太。
でも ただの夢だから。
でも ただの夢って思いたくない私がいる。
逢いたいって思ってる私がいる。
ダメな自分がいる。
『美音ちゃ〜ん!』
『この声は…』
翔太がうんざりしながら振り向く。
私も振り向くと栗色の頭をした陽がいた。
『美音ちゃん、おはよう』
翔太をスルーして私に挨拶をしてくる陽。
『……おい、てめぇ…』
『あんだよ?うるせぇな』
『俺を無視すんな〜!!』
……なんか翔太、嬉しそう。
こんなに対等に話してくれる友達
あんまり出来たことないからかな。
翔太はケンカが強かったから
皆、一線引いてて。
何となく他人行儀で。
だから
こういう何でも遠慮しないで話せる友達が嬉しいのかな。
良かったね。翔太。
『てか、お前!
昨日はどうだったんだよ?』
『昨日?』
『お前、族の幹部なんだろ?
何て言う族だ?』
私もちょっと聞きたいなぁ。
『あ?何で知ってんだ?』
「金髪との話の内容でわかったわよ。」
『え?美音ちゃんにまで?
恥ずかしいなぁ…』
いいから教えなさいよ。
『族の名前は…
“劣華”』
………れっか?