私は泣き疲れて、
ベッドの上であのまま寝てしまった…


だから気づかなかった…。


窓から入ってきた
黒いマントを羽織った紳士に………。



-キィ…



「迎えに来たよ……アイリーン。」



そう言った紳士は、
アイリーンを抱えながら…
柔らかい笑みを浮かべながら…
漆黒のマントを翻して暗き闇へと消えていった。




* * * * * * * * * *


『アイリーン…迎えに来たよ…』



『え…?』



『お前を食い尽くしてやるために…な…。』

そう言い終えると何者かの気配がした。

そして、
腕を掴まれる感触と共に、
首筋に舌を這わされる感触が私を襲った。


『い…ゃぁ………。』

誰か助けて――…



-ハッ…

「ハァ…ハァ……ッ…。」


気づくと私はうっすらと汗をかいていた。



「何…今のは…夢……?」




……え?



そういえば……ここは…?



たしかに私の家は裕福かも…

でも、こんなに豪華な部屋なんてなかったはず…




…じゃあここはどこ?


それに、このネグリジェ。

黒くて、
足が少しも見えないくらいのロングのワンピース。

…っていうか誰が///


そして左手には…


「ブレスレット……?」

そのブレスレットは金色で薔薇の形をしたシンボルが一つ。
そしてそれには



「E…?」


≪E≫の文字が薔薇の中心部に小さく刻まれていた。


………綺麗。


誰もがそう思ってしまう
ブレスレットだった…。

E...私の名前のスペルも
EileenだからEだけど…

何か関係が…?