「あまりこの辺りでは、見ない顔だね。」

私はうつ向きながらこたえた。


「迷子になったの。」


この時、15歳にもなって迷子になったなんて、自分が情けないと思った。


でも、迷子にならなかったら、君に会えなかったよね。


君は初めて会った私にとっても親切にしてくれた。


「クッ、迷子か。せっかくだから、この辺りを案内するよ。」


君は笑いをこらえながらいったね。
気づいてたよ。だって、肩が震えてたから。


そんなに笑わなくても…


私はちょっと、ふてくされながら言った。


「いいの?」


「もちろん!この町を見渡せる。いい場所があるんだ。」


そい言って君は、私の手を引いて歩きだした。