私は立っていられず、その場にしゃがみこんだ。



疾風のお母さんが静かに語りだした。




「あの子はね、……病気だったの。」



……ッ!!…病気?



「もう、治らないってお医者様には言われてたわ。生きられて、あと3年っていわれたの…。あの子はその頃から笑わなくなった、お医者様には入院すれば、少しは長く生きられるかもと言われてた。でも、あの子は「入院はしないよ。」っと言った。「あと3年、好きにやらせて」って。
でも、それまで笑わなかったあの子がある日から笑うようになった。たぶん、紗和さんと会った日からね。貴方のことを話す時のあの子は、とても楽しそうだった。今まで病気のことを諦めていたあの子が、いきなり入院するって言ってきたのよ。
「3年後の約束守らなきゃいけないから」って。「だから、少しでも長く生きるんだ」って。あの子は、頑張っていたわ。でも、いきなり容体が急変してね。
あの子は行ってしまったの。」