「おお、起きたか、えらくうなされてたぞ。怖い夢見てたか?」


マスターも手錠で両手両足を拘束されたまま壁に背をつけている。


「俺もさっきまで気絶してたよ。でもここどこだろうな……」


マスターはハルトに笑いかけた。


「しかし、我ながら情けないなあ、さっきは何もできなかった。


ケンカだけは自信があったのにな、でもあいつは化け物みたいに強いよ」


そういうと咳き込みながら、マスターは床に血を吐いた。


血と一緒に折れた奥歯を吐き出した。


血のついた白い歯が音を立てて転がった。


「くそっ、あのサングラス野郎俺の奥歯をへし折りやがった。


口の中も相当切れてるな、血がとまらねえ……」


そういうとまた血の混じった唾を吐いた。