「とりあえず座って落ち着け」


ちょっと怒ってるみたいな声。

落ち着きないのは律のほう。


「なんで?今まで待ってたじゃん?ドナーが現れたらいいねって」


子供の頃は、国内での子供の心臓移植が認められていなくてできなかった。

大人になってからは、もう何年も移植を待っていた。

2年前にうけた手術は、移植までの“時間かせぎ”の手術だった。

それは十分わかってる。


「でも…もう、リスクを背負ってまで、受けたくない」


ちゃんと気持ちが伝わるように、まっすぐに目を見て言う。

お医者さんに対して、治療を拒否してるようなものだけど…

律は私の味方だよね?