律にワガママ言って、色んな人に助けられて、やっと授かった命。

ちゃんと産めるメドが経った。

安心したと同時に、心の中に浮かび上がってきた思い。


「もう、十分生かしてもらったよ」


これ以上ないくらいに幸せで、いつ死んだって後悔しない。

今、本気でそう思えるんだ。


「心臓移植、待機患者のリストから外してもらいたいの」

「なんでそうなんだよ!?いくら手術がうまくいったからって、柚希の今の心臓は不完全なんだぞ!?」

「うん、わかってる」


すこし乱暴に手を引かれて、“相談室”と書かれた小さな部屋に入る。