ちよりさんはカウンターから生ビールとウーロン茶を持ってくると、親父の真向かいに座った。

私は斜め先のちよりさんを盗み見る。

小柄で華奢な母とは比べるまでもなく、ちよりさんの肩幅は広く骨太な感じがした。

長い髪にこだわった母と違い、ちよりさんの髪は短く、立ち上がるたびに揺れるピアスが輝いていた。

ざっくりとしたエンジ色のセーターもタイトな黒のパンツも母にはありえないファッションだった。



そして、何よりちよりさんは若かった。

20代後半にしか、本当は32歳だったけど、見えなかった。