亮介は久しぶりに、夕方に仕事が終わり、足早に家族の元へ帰るところであった…。
幹線道路の歩道から、車道側の車に乗り込もうと回り込み、ふとなにげなく上を見上げ、歩道橋を見た時…
妙子と目が合った…
全く逆のシチュエーションではあったが、亮介はすべてを理解した…。
先日のスタジオであった女性…妙子があの時の、婦警さんだったのだ!
二人は、夢のような現実に又、翻弄されていた…
亮介は、驚きをあらわにしたままその場に立ち尽くし、妙子は、それでもゆっくりと歩き始めた…。
二人は20数年前のあの時に戻り、3分弱の長い永い時間を、恋人同士として又、共有した…
現実は小説より…奇なりだ!
やがて妙子は、二人のルールに従って、歩道橋を渡りきり、涙をうかべたままその場所から立ち去った…
亮介も、同じようにして車に乗り込み、家族の元へと車を走らせた…
夕暮れがあの日と同じ色で、二人の思い出を包みこんでいた…
FIN