でも、家にたどり着く頃には、もう”おち” の事が気になっていた。 メールを打ったり、携帯を鳴らしたりしたが 応答はなかった。 なんだか、胸さわぎがして、あいつのマンシ ョンへと自転車を走らせた。 あれは、短い夏を生き急ぐ様な蝉しぐれの にぎやかな午後だった。 道々、俺は、あいつが言った言葉を、思い返 していた。