ただ事ではない様子に、俺は、廊下の椅子に



座る様にすすめた。




「どうした?おち。気分でも悪いのか?」



言いながら、背中に手をあてた。






”おち”は、うつむき小さな声で言った。




「・・テスト出来なかった」




”あ。俺のせいだ。”




毎日のおちの家での勉強は、最低レベルの



もので・・・・それは、”おち”の貴重な



勉強時間を奪っていたんだ。





平均点97点の”おち”にとって1点1点が


貴重だった。




あいつにとって、成績が下がるという事は、



イコール医師になれない


イコール父親に存在を認

     
       められない



という事につながっていた。