電話をかけた先は、警察署だった。






「あのー、もしもし!不審者がお客さんの足を掴んで放さないんです。はい、直ぐに来てください!」






「わかりました!直ぐに現場へ向かいます」







―――不審者?






電話で話をしている新人アルバイトの話を聞きながら『不審者って…、いったい誰の事なんだ?』と頭の中で話を整理している二戸 梨杏の足を掴んだままの店員。






もう一度、新人アルバイトが言っていた言葉を巻き戻して再生をする。






『……不審者がお客さんの足を掴んで放さないんです。』って――、







まさか、俺のことか……。





ようやく、事態が分かった店員。





とんでもない、誤解だ、大きなお世話だと顔をぶるぶると横に振る店員。