ドアに耳をピッタリと貼りつけて二戸 梨杏の話の一部始終を聞いていた店員。
――顔面蒼白。
普段から血圧の低い店員、一気に加速して血圧が下がっていく。
「聞いてはいけないものを私は聞いてしまったような気がする……。聞かなかった事にしようか。イヤイヤ、それはいかん!あわわっ…、大変な事だぞっ」
と、思っていたらドアがバタンッと勢い良く開き。
ドアが開いた勢いで店員は壁に挟まれ、鼻から血を垂らし頭の上にはキラキラと光る小さな星がくるくると円を描いて回っていた。
部屋から出てきた二戸 梨杏。
堂々と逃げる気満々の様子。
「右よし!左よーしっ!前方よし!前へ、突き進めっ!!」
身を構えて、もうダッシュで走り出そうとした瞬間。