梨杏のすっぴんの顔を見たまま、何も言わない中村先生。
目を反らしたくなるぐらい、やっぱり私のすっぴんはひどかったんだ……。
でも、黙っていないで、何か言って……。
――ねぇ、中村先生。
先生の素直な気持ちを聞かせてよ。
何を言われても、私、傷つかないように、頑張るから――。
シーンと静まり返って、すき焼きのグツグツと煮える音だけがキッチンに響く。
長い沈黙、なんだか苦手――。
先生の気持ちを言葉で聞かせて――。
「―――先生?」
もう、何でもいいから言ってよ。
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