――うそっ、凄く嬉しい!先生が私に言ってくれた言葉が胸の中で響く。
――本当に?ねぇ、先生、驚かないでね!!
恐る恐る両手を少しずつおろす二戸 梨杏。
じーっと二戸 梨杏の顔を見ている中村先生。
二戸 梨杏のすっぴんの顔に興味があるわけではない。
早く晩ご飯が食べたくて二戸 梨杏の顔をじっと見ている。
すき焼きの鍋から漂う良い香がスッーと中村先生の鼻の中に入る。
あーーーー、もう我慢の限界だ!
口の中に溜まっている生唾をゴクリと飲み込む中村先生。
――なぁー、早く食べようぜ。
二戸 梨杏が少し顔を上げて、すっぴんの顔を披露する。
無言のままニッコリと笑う二戸 梨杏。