だからぐずぐず言う女子の言葉を無視して先生の言う問題のページを開いた。
「やっべー、 教科書忘れちった。わりい・・・石川みしてっ」
久方君がわざと教室に全体に聞こえるくらいの声でいう。
みんなが一斉にこちらを伺う。
「やだ。うるさい女子にぐずぐず言われると勉強の邪魔になるんだもん」
私は思うことを口にしてみたが、先生がみせてやりなさいとか言うもんだから、仕方なく見せてあげることにした。
「やっさしー」
調子に乗った久方君がいった。
「このマーカーと付箋・・・すごい量だな。」
「仕方なく見せてるだけ。まーかと付箋は関係ないでしょ?
ったくこんなんなら隣の席なんてごめんだった。
女子にはぐずぐず言われるし、勉強の妨げだし、鬱陶しいだけ・・・
クジ運悪すぎだろ 私・・・」
久方君はわざとクスリと笑った。

放課後、私はななと一緒に帰っていた。
すると後ろから久方君が来た。
「石川ぁーーー」
今度は何・・・全くいい加減にしてほしい。
「今日は教科書・・・ありがとな」
そういわれて少しほっとした。
「うん。もう忘れ物しないでね」
そういって曲がり角で別れた。
ナナまで羨ましそうに
「いいなあ 久方君に話しかけてもらえるなんて。」
私はその言葉の意味がわからなかった。

日曜日・・・私は今日こそはゆっくりすると心に決めていた。
なのに急にメールで
「今日遊園地行かね? んまあ強制だけど」
なんて久方君からきた。
先週はナナに結構振り回されてうんざりだったけど・・・
今回は行くと女子に目をつけられるから絶対に嫌だった。
もし行ったら、当分、クラス・・・いや、学校なんて行けなくなるだろう。
大学のための塾の試験で決まるクラスはもちろんトップクラスに入らないといけない。