「ふーっこの曲結構声高くて疲れたよ」


言いながら大輔が大和って人の横にどさっと腰を下ろす。



私は蛍に目配せすると、正面に座っている大和の腕を強引に掴んで立ちあがった。





「ごめん、私学校に携帯忘れちゃった! 取りに帰るから大和もついてきて」


「え、葵ちゃんさっき携帯いじってなかった!?」


あせる大輔を無視して、
蛍に手を振ると大和の腕を引っ張ってカラオケボックスを出た。



出ると、大和が初めて口を開いた。



「テメー、いきなり何すんだよ」


「何よ、アンタどうせ楽しくなかったんでしょ? じゃあいいじゃない」


「意味分かんねぇ。いつ俺が楽しくないって言った?」


「楽しいとも言われてないわ。仕方ないでしょ、蛍と大輔二人きりにしたかったんだから」



言うと、大和がため息をついて歩き出した。



さて…これからどうしようかしら。




とりあえず執事に電話して迎えに…。



そう思ってバッグをあけると、先に歩いていた大和が振り返った。




「何してんの? 早く行くぞ」


「行くってどこに…」


「いいから」



半ば強引に、私は大和についていくことになった。