「恋愛知らないお前が男受けいい葵ちゃんに教えられんの?」


「俺だって告られたことくらいあんだ。大丈夫」


「ふーん。じゃ、俺授業戻るわ。頑張れよ」



ポンポンと俺の肩を叩くと、屋上の扉の前で振り返った。


「ヘマすんじゃねーよ」


「何がだよ」


「モテるお前とモテる葵ちゃん。仮でも付き合ってることバレたら騒ぎやべえだろうね。守ってあげなよ、王子様♪」



最後にヒラヒラと手を振ると、屋上から出て行った。


「お前と水口も十分モテモテじゃん…」



独り言をぼそっと呟くと、コンクリートに寝っ転がった。


今日も澄み切った青空。




俺が初恋か…。


「……はは」




何か笑える。


急に葵に会いたくなった。



「……昼休みになったら会いに行こう。」


再び呟くと、俺は静かに目を閉じた。



初めての恋を…噛みしめながら。