「葵っ葵っ!!!」


「何…朝からうるさいわよ?」



走って来たのは、この学校で唯一仲良くしてくれる親友の、水口蛍(ミナクチホタル)。



身長165cmの私より20cm小さい145cm。

ちっちゃくて可愛くて、さばさばしてて…まあ、いい子。



「王子の写真入手したよ!!」


「…王子??」


「葵知らないの!? この学校で一番人気の王子様!!」


……。


誰?


首を横に振ると、蛍は呆れたようにため息をついた。



「めっちゃかっこよくてね、男子といるときは楽しそうなんだけど、女子と話す時はクールで無愛想なの! そこも人気の秘密なんだ♪ 葵の携帯にも写真送ったから!!」


「ええ!? 興味ないし…消去するっ」


「ちょっだめだよ!」


携帯を開いた瞬間蛍に携帯を奪われた。





やっと返してもらえたと思ったら、蛍がニヤニヤしてる…。


「その顔やめて? キモイ」


落ち込んだ蛍を横目に携帯を開くと、覚えのない画像があった…。