「葵ちゃんと大和が…婚約者?」


大輔がポカンと口をあけて俺を見つめた。



静かにうなずくと、大輔も納得したようにうんうんとうなずく。


「まあありえねー話じゃねーよな。二人とも金持ちだもんな~」


「ああ」


「え、じゃあ何? お前ら数年したら結婚すんの? 美男美女じゃん!! やべー子供の顔見てぇ!!!」



一人で勝手に盛り上がる大輔を手で制すると、俺は口を開いた。



「葵は知らねー。んで、結婚するかどうかも分かんね」


再びポカンとする大輔。



「何それ。婚約者って言えんの?」


「…父さんは俺の意思で決めろって言ったんだよ」


「でもお前ら付き合ってんだろ?」


「……仮に?」


俺が疑問形に答えると、大輔は急に黙り込んで、それから確かめるように言った。






「それさ…大和、初恋じゃね?」