私の目の前に立ってた蛍が振り返り、「あ!」と叫ぶ。



立ち止まってキョロキョロ見回す人影。


「……葵」


この声…。


蛍の横から顔を出してみると、人の教室にずかずか入ってきたのは大和だった。




そのまま周りの視線もどこ吹く風、近づいてきた大和は私の前でぴたりと止まった。



「これから一緒にサボろうぜ」


「まだ1時間目も始まってないんだけど」


「そんなんほっとけ」



腕を引っ張られ、強制的に立ち上がらせる。


「水口、あとよろしく」


「ほーい♪」


「ちょっと蛍! 止めてよ!!」


いつの間にか仲良くなってる大和と蛍は、二人でグッとサインをしている。






そして笑顔の蛍をにらみながら、私は引きずられるように教室を後にした…。